2023/08/07

毎日、鉄板で焼かれている“船上のプリンセス” Chance Making Story #04  城戸萌子さんのStory

cms-top

彼女の職場は、海の上だ。

福岡県は北九州市出身の城戸萌子さんは、幼少期から慣れ親しんだ海を愛するあまり、港湾土木で働きたいという思いがわき上がり、それまでもらっていた内定をすべて断り、現場監督となる道を選んだ。

港湾土木と言えば、まさに“土木ど真ん中”。高度な専門用語が船上で飛び交う中で、得意の英語力を活かし、海外製の作業機械の操作指示を一手に引き受けている。

太陽が燦々と照りつける過酷な環境にあっても、「鉄板で焼かれてる気持ちになりながら過ごしてます」と人懐っこく話す城戸さんからは、常にポジティブな言葉が口をついて出る。

#04_1桜島を背に笑顔の城戸さん

なんとしても港湾土木で働きたかった

――なぜウィルオブ・コンストラクションに応募されたんですか?

え、なんでだっけ?(笑)
えーと、最初は営業職を考えていたんですよ。でも、途中で「あ、わたし営業キライだ!できない!」って気づいてやめた(笑)。


――そうなんですね(笑)。なにかきっかけがあったんですか?

セレクトショップでバイトをしていたんですけど、たまに取り扱ってないブランドの商品がほしいって言うお客さんがいるんですよ。
店長は「『代わりに、うちにはこんなブランドがありますよ』って売れ」と言うんですけど、「あそこが正規取扱店ですよ」って他店を教えちゃったことがあって。
自分の売上よりも、お客さんが満足するほうが大事じゃないですか。だから、「あっちにあるけん、あっち行ったほうがいいですよ」って。

そしたら、そのお客さんが次の日にお店に来て「教えてくれたお店で買えたよ、こっちでも何か買うね」って言ってくれたんです。その時は嬉しかったけど、「わたし、営業やっちゃダメだな」って気づいたんです。


――建設業界で働きたいと思ったのはなぜですか?

モノづくり好きやし、建設の会社もいいなって。
でも、大学は建築系じゃなかったから、建設業界で働きたいと思っても、基本的に総合職とか営業職になっちゃうんですよ。
工務店で営業なんかしたら、「あっちの会社のほうがきれいに内装できるよ」とか「うちにないパネル持ってるよ」とか言っちゃうだろうし、それだと自分のノルマが達成できなくなるじゃないですか。
だから、やっぱやーめたって思っていたんですが、ウィルオブ・コンストラクションは、未経験からでもダイレクトに現場へ行けるってことだったので、それで応募しました。

あと、何か自分らしいことに挑戦したいという気持ちもありました。
大学では国際系を専攻していて英語も話せるので、それを活かして自分を差別化したいなって。
建設現場で働く外国人も増えているし、日本企業が手掛ける海外のプロジェクトも増えたけど、実際に現場で英語が話せる人は多くないだろうから面白そうだなと思いました。


ウィルオブ・コンストラクションが就活の最後の1社だったんですけど、「ここならやっていけるかな」って直感で思ったので入社を決めました。広告業界やメーカーの研究職とかからも内定もらってたんですけど、ぜんぶ辞退して。


――建設業界で働くと決めたとき、ご家族は何か言っていましたか?

父が地図製作の会社で働いていて、小さい頃は現場についていくこともあったんです。父はいつかそっち(建設業界)に転ぶだろうなって思ってたっぽくて、「萌子は現場に魅力を感じると思ってたわ」って笑ってました。


――どんな現場で働きたいって希望はあった?

北九州出身で、小さい頃から海が大好きだったから、建設業界で働くなら港湾土木の仕事がしたいなってずっと思ってて。だから会社にはめちゃくちゃわがまま言った(笑)。


――もし配属先が港湾じゃなかったら?

続けてたとは思いますよ。土木だったらそれはそれで続けてたと思うし、建築だったら工事が終わったタイミングで「港湾土木がいい!」って言ってたと思う(笑)。


毎日船の上だと、鉄板で焼かれてる気持ちになる

――いま、入社してから何現場目ですか?

4つめです。最初は北九州の船が通る航路の浚渫工事で、次が福岡空港の現場でした。
3つめが、去年の秋から冬にかけて入っていた熊本の八代市の地盤改良工事。土砂処分場の基礎を造るための地盤改良でした。わたしはおっきな地盤改良船に乗って、材料検査とかしていました。ここは竣工までいましたね。


――転々としてますね。

しゃーないかって感じです。住むところも変わって楽しいし、いいかなって。
いまは鹿児島でケーソンを造る現場にいます。鉄筋班だったり、生コンを手配する材料班だったりがいるんですけど、わたしはケーソンを造るための機械を動かすチームにいます。
毎日船の上なんですけど、鉄板で焼かれてる気持ちになりながら過ごしてます(笑)。


――現場で英語は使っているんですか?

使っている機械がスウェーデン製で、スウェーデン人のメーカー担当者さんが来ているので、わたしが通訳になって日本人の作業員さんたちに操作してもらったり、メンテナンスをしてもらったりしています。


――いろいろな専門用語も出てきますよね?

出てきます…。でも、現場では指さしながら説明してくれるから大丈夫です。あとは、先に英語のマニュアルをもらって、ある程度の単語は事前に調べておいて、どうしてもわからなかったらその場で聞いて確認しています。


――じゃあ、城戸さんいなかったらヤバいですね…。

うん、止まっちゃう(笑)。ふつうに止まるっぽいです(笑)。


――やりたかった港湾工事を実際にやってみてどうでしたか?

まだ任されることも少ないしお勉強がメインなので、キツイとか大変とか言える立場じゃないんやけど…何も分からないところから始めてるから、毎日教わったりしながら自分でもできるようになるのはやっぱり楽しいし、嬉しいです。
今回の現場は常に100人超えなんで、いろんな作業が同時に動いてるのは楽しいけど、人が多い分、任されることが少ないからちょっとつまんない(笑)。


――鹿児島での生活はどうですか?

暇ですよ、なんもない(笑)。でも、今回の現場は女性が多いんですよ。だから仕事中も居心地いいし、休日に一緒に出掛けたりもできるので楽しいです。おいしいケーキがあるカフェでぐたーってしたりとか、映画観に行ったりとか。

#04_2九州支店の佐藤鳳大支店長と

いつか仕事で海外に行けたらいいな

――仕事のやりがいは?

いままではずっと海中の工事だったので、完成が見えなかったんですよ。海に砂杭を掘っても、目視で見えるわけじゃないから。
それはそれで楽しかったんだけど、今回はコンクリート工法だから見えるんですよ。鉄筋が組まれていく様子とか、生コンが打たれてケーソンができていく様子が。
これを一番近くで見られるから、モノづくりが好きな身からしたらすごく楽しいです。「あ、もうこんなにできてんだ」みたいな。


――仕事でキツイことはありますか?

なんだろ…。たぶん性格の問題だと思うんですけど、みんなと同じ量の働きをしなきゃって思っちゃうタイプで。誰かが働いていたら、わたしもやらなきゃって。「城戸ちゃん、休んでていいよ」って言われるのがすごくキライなんですよ。

現場に通訳がわたししかいなかったときなんて、自分がちゃんと通訳しないと職人さんが間違った操作しちゃう可能性もあるし、間違った操作をしたら人が死んじゃうかもしれない。
だから体力的な面よりも、「自分がやらなきゃやらなきゃ」っていう重い責任を感じたのが最初はそれなりにしんどかったかな。いまは仕事にも慣れたし、だいぶ楽になりましたけど。


――小さいときから負けず嫌いでしたか?

めちゃくちゃ負けず嫌い(笑)。テストで100点取れなきゃ「ヤダ!」って駄々こねたりとか。
誰と比べるとかじゃなくて、これができなきゃ納得いかない、完璧主義なのかな。宿題も「終わってません!ごめんなさい!」って締め切り延ばす人もいるけど、自分はそれができなくて。やらないと気が済まない。やり切らないと。


――勉強は好きでしたか?

好きでしたね。好きというより、机にむかって鉛筆カリカリ動かしてるのが苦じゃなかったって感じかな。
一人っ子で、友だちと遊ぶことも少なくて。習い事やるのも好きだったんで、学校終わったら習い事行って、家に帰ってご飯食べて、アニメ見て寝るっていう毎日でした。塾とか英会話も行ってたし、お習字もやって、ピアノやって、スイミングやって、フラダンスやって。


――今後こうなりたいとかのイメージはありますか?

うーん…ずっと海にいたいです。


――なにか具体的な目標とかは?

いまは2級の技士補を取った段階なんで、じっ…じっち?二次試験みたいなほう(笑)は、実務経験年数を満たしたら取りたいです。
あと英語もそろそろ…。ひさしくお勉強してないから、TOEICとかTOEFLとか受けないとヤバいです。スコアの期限も切れちゃうから。取っておくに越したことがないし、余裕ができたら受けたいなぁ。TOEICは大学2年のときに一度しか受けたことないんですけど。問題の量が多くてしんどすぎてそれから受けてないけど(笑)。


――やっぱり、いつか海外に行きたいという思いはあるんですか?

ちょっとあります。一時、コロナで動かなくなっちゃいましたけど、ようやく動き始めているので、会社にも「海外の現場ない?」って聞いています。


――行くなら、どこの国がいいですか?

海外ならどこへでも行きたいですね。大学のとき、狂ったように海外行ってたんで(笑)。韓国とか台湾とか香港とか。前の現場の先輩も海外で4年やっていたらしくて、「いいなー」って思いました。わたしもいつか仕事で行けたらいいな。


――最後に、建設業界を目指している後輩へメッセージをお願いします。

自分が納得するかたちに着地するまで、諦めないでほしいってのが一番かな。
「もうここでいいや」っていう妥協はあとあと後悔するから。たとえ、その仕事が楽しかったとしても、「あのときもっと粘ったらどうなっていたんだろう」っていう後悔が1mmは残ると思うから。そんな後悔は、絶対にしてほしくないです。

あと、街を歩くときとかにちょっとでも周りに目を向けてほしいかな。足場を組んで建物を造っているかもしれないし、道路を造っているかもしれない。建設って意外と身近なんで。「これ、どうなっているんだろう?」っていうところから、建設業界に興味を持ってほしいなって思います。

城戸萌子さんプロフィール

福岡県北九州市出身。幼少期から慣れ親しんだ海を愛するあまり、港湾土木で働きたいという思いがわき上がり、それまでもらっていた内定をすべて断り、現場監督となる道を選んだ。

城戸萌子さんのStoryはこれからも続きます。
シェアで建設技術者の応援をお願いします!

チャンスメイキングストーリーとは

株式会社ウィルオブ・コンストラクションでは、
これまで多くの建設技術者の方々の転職活動をサポートしてきました。
当社を通じて転職に成功された方々の事例の一部をご紹介します。

Chance Making Story TOP 

こちらのStoryもおすすめ

Chance Making Story TOP 

私たちは、
仲間を募集しています